放射線診断科
放射線診断医はX線写真やCT、MRI、超音波検査(エコー)、核医学検査といった撮影で得られた人体の画像を診断(読影)しています。またIVR(画像誘導下で行う局所治療)も専門性の高い一分野です。
放射線診断医の仕事は広範囲にわたります。
画像診断は全身に対して行われるので全身各臓器の正常解剖や疾患についての知識を持っていることが前提で、かつそれらがどのように画像に表れるかを知っている必要があります。知りたいことに最適化した撮影方法やプロトコールを撮影者に指示するのも重要な業務です。放射線被ばくの安全性や適正化および防護に関する知識、撮影に用いられる造影剤の働きや副作用の知識も必須です。言うまでもなく画像診断は現在の医療において重要なポジションを担っており医療の質を左右する大切なものですから、一般にはあまり知られていないものの放射線診断医が病院で果たす役割は大きいのです。
当院では十分なトレーニングを受けた放射線診断専門医2名が、残る2名の若手放射線診断医を指導しつつ、一緒になってその任務を果たしています。
当院の放射線診断医(画像診断医)は主として当院で撮影されたほぼ全てのCTやMRI、核医学検査の画像診断(読影)を行っています。正確かつスピーディーに読影することを大事にしており、各科での診療がスムーズに進むよう協力しております。重要な所見が見つかったときには画像検査を依頼した医師にすぐ連絡するなど、見落としと呼ばれるようなことが起きないようにも十分に配慮しています。
IVRは主として外傷などに対する血管造影下での緊急止血など一部のみを放射線診断医が行っています。
当院併設の中央健診センターで撮影された放射線画像はドック、健診ともに放射線診断専門医がすべての読影を担当しています。また当施設の検診車で撮影されたものも同様にすべてが放射線診断専門医の読影です。
病診連携といって、近隣の医師からの依頼によって画像検査を行い、診断報告書を作成しお返しする診療も行っています。
一般撮影
一般撮影とは、胸部や腹部、骨、乳房などをX線で撮影することをいい、単純撮影とも呼ばれます。当院では2017年2月より富士メディカルシステムズ社製のFPD(Flat Panel Detector)を使用した最新のX線撮影システムを導入し、質の高いX線画像を提供しています。FPDは従来システムに比べ被ばく線量が少ないことが大きな特徴で、最大で約50%の被ばく線量の低減が可能となりました。また、処理速度が速くなり画像確認時間が短縮したこと、骨折などの撮影時フィルムの入れ替えがなくなり、苦痛が少なくなるなど、より患者様にやさしい検査を行うことができるようになりました。
乳房X線検査(マンモグラフィー)は正常乳腺・乳腺の乱れ・石灰化・腫瘤を鑑別する為に乳房専用装置を用います。当院では2020年3月に直接変換方式のFPD装置を導入し、低線量での検査が行われるようになりました。また乳腺構造の重なりにより発見が難しかった病変の観察を容易にするトモシンセシス機能も搭載しております。石灰化組織を採取するマンモトーム検査もトモシンセシスの機能により、より正確にスピーディーに行えるようになりました。
骨密度
骨粗しょう症の診断に用いる装置です。骨粗しょう症とは骨が弱くなって、骨折しやすくなる病気です。骨の強さは、骨の量(骨密度)と骨の質(骨質)で決まります。
当院の骨密度の測定は、Hologic社製の装置を使用し、DEXA(デキサ)法とよばれる測定法で行っています。エネルギーの低い2種類のX線を使って、骨と他の組織におけるX線の吸収率の差から骨密度を測定する方法で、信頼度が高いといわれています。
主に腰の骨(腰椎)や股関節(大腿骨近位部)、手関節(前腕骨遠位部)の骨密度を計測します。検査開始から終了までの所要時間は、着替えなどの時間を除けば数分程度で終了します。
症状が無くても、女性は40歳を過ぎたら定期的な骨密度検診の受診が勧められていて、5年刻みに骨密度の節目検診を行う自治体も多くなっています。 検診で骨密度が減っていると判定された人は、指示された時期に医療機関で検査・診断を受け、治療の時期を逃さないようにしましょう。
X線TV室
当院ではX線TV装置を健診棟の2台を含め5台保有しています。X線TV装置は連続的にX線を出すことで、普通のテレビのように身体の動きや状態を動画として確認しながら、最適なタイミングの画像を撮影する装置です。整形外科、外科、消化器内科の検査を始め、さまざまな検査、治療を行っております。
CT
CT検査とは
Computed Tomographyの略です。X線で身体を撮影し、コンピュータ処理をすることによって断面像をつくり、身体の内部を詳細に画像化する検査です。検査時間は目的、部位によっても異なりますが、短いもので約5分、長いもので15分程度です。
当院のCTは治療計画用を含め4台稼働しており検査の目的や部位に応じて使い分けられます。その中の1台は16㎝という広い範囲、例えば成人の心臓全体や頭部を0.275秒で撮影することが可能です。この機能を用いて、心臓疾患、脳疾患等の検査を行っています。その他、胸部・腹部・四肢など、全身を撮影しています。検査目的によって造影剤を使用することがあります。造影剤を使用すると、副作用がでることがありますがすぐに適切な処置がとれるような体制になっております。
皆様に安心して検査を受けて頂くために適切な造影剤量、X線被ばく量を考慮しより安全な検査が行えるように努力しています。
検査のお願い
検査部位に応じて、アクセサリーや貴金属類、使い捨てカイロやエレキバン等を外していただきます。
息止めが重要な検査です。合図に合わせてしっかり息を止めるようにお願いします。
MRI
MRI検査とは
Magnetic Resonance Imagingの略称で、X線を使わず強力な磁力と電波により体の断面を撮像する検査です。また、造影剤を使わずに血管を描出することが可能です。
当院のMRI室は1.5T(テスラ)と3.0T(テスラ)の2台で運用しています。
3.0T MRI装置は1.5T装置に比べ約2倍の信号が得られ、画像の画質が向上し、撮像時間の短縮が可能となりました。特に頭部では高分解能画像が得られ、従来では見えなかった非常に微小な動脈瘤も描出できるようになり、脳血管の3D画像も非常に細かい部分まで見えるようになりました。
私たちは、3.0Tと1.5T MRI装置のそれぞれの特性を活かし、役割分担をして最良の検査を心がけています。 また、安全に検査を受けていただくために、問診をさせていただいています。ご協力お願いいたします。
検査の注意点
検査予約時の医師、看護師の問診にお答えください。
磁性体は検査室内に持ち込めない為、時計やネックレス等のアクセサリー類は外していただきます。また使い捨てカイロや湿布薬等も検査部位に関わらず火傷の恐れがある為、剥がしていただきます。
心臓のペースメーカや骨折部位の金属プレート等、体内金属に関してはMRI検査に対応していないものもある為、検査予約時に必ず医師に申し出て下さい。
※車いす、ストレッチャーの方はMRI対応のものに乗り換えます。
検査時間は通常15~30分で、長いもので1時間程度です。
検査中は仰向けで静止したままになります。
※検査内容により体の向きが異なる場合があります。
多目的血管撮影装置・DSA装置
血管造影検査は、カテーテルと呼ばれる細い管を目的の血管まで到達させ、造影剤を注入して血管の形態や血流を観察します。画像処理によって、目的の血管だけを描出することで、病気の診断、評価にとても役立ちます。
当院では脳外科、消化器内科、血管外科、透析の患者様に対して造影検査、IVRを行っています。 IVR(Interventional Radiology )とは、画像診断(X線透視装置、超音波、CT、MRIなど)を施行しながら、主にカテーテルテクニック、または穿刺術を利用した治療のことです。「カテーテル治療」や「血管内治療」とも呼ばれています。
血管系IVRでは、カテーテルを目的の場所まで進め、狭窄した血管を広げる拡張術、出血した血管をふさいだり、動脈瘤をつめたりする塞栓術、がんを栄養する血管に薬を注入する動注化学療法などの治療が行われています。
血管系IVRは、外科手術にくらべて低侵襲で治療を行う事ができるため、体への負担が少なく、入院期間も短くできます。
心臓カテーテル撮影装置
心臓カテ-テル検査には、造影剤を用い心臓の壁運動および血管の形態を知る造影検査や右室・左室などの心腔や大動脈などの大血管内の血圧や採取した血液中の酸素濃度の測定、心臓が送り出す循環血液量の測定、心臓内での電気の伝わる速さを調べる電気生理学的検査があります。
当院では心臓カテーテル検査は主に循環器内科の患者様に対して造影検査、IVR(血管内療法)を行っています。
心臓カテ-テル検査室で行なわれるIVRには冠動脈拡張術PCI、血管拡張術(冠動脈以外)PTA、血管塞栓術TAE、アブレーション、ペースメーカ・ICD植込み術などがあります。 平成30年より導入された最新装置では、同時に2方向からの透視撮影を行うことが可能であり、より検査時間の短縮化、造影剤の低減が図れます。
核医学検査
核医学検査は、ごく微量の放射性同位元素(ラジオアイソトープ)を含む放射性医薬品を用いて診断する検査です。放射性同位元素からは微量のガンマ線が放出されます。放射性医薬品を投与すると、特定の臓器に集まりガンマ線を放出します。このガンマ線をガンマカメラで体外から測定し、分布を画像にします。当院では2台のガンマカメラを使用し検査を行なっています。ここに代表的な検査として骨シンチグラフィ(骨シンチ)と心筋シンチグラフィ(心筋シンチ)の画像を掲載します。骨シンチはラジオアイソトープを注射し、癌の骨転移、外傷等による微小骨折など、X線検査ではわかりにくい様々な全身における骨の状態を詳しく調べることができる検査です。心筋シンチも同様にラジオアイソトープを注射し心臓を栄養する血管(冠動脈)に狭いところがあり心筋への酸素供給が不足した状態の有無を調べ、狭心症、心筋梗塞の有無や重症度を診断するなど各種心疾患の診断目的で行われる検査です。このように核医学検査は検査目的に合わせた放射性医薬品を選択することで、臓器の血流、代謝などを知ることができます。最後に当院では骨に転移した骨腫瘍に対して抗がん作用を持つ治療用の放射性医薬品(注射薬)を使用した治療も行っています。
人間ドック・検診
胃部・胸部検診車3台とマンモグラフィー検診車を保有しており、住民検診や事業所検診をおこなっています。
また、人間ドックでは胸部X線撮影や胃部バリウム検査、マンモグラフィー、骨密度測定、胸部CT検査を行っております。
胃部バリウム検査では日本消化器がん検診学会およびNPO法人日本消化器がん精度管理機構推奨の基準撮影法で撮影を行っております。
マンモグラフィーにおいてはデジタルマンモグラフィシステムが導入され、低被曝・高画質な画像を提供しております。また、女性技師が担当しますので安心して検査を受けていただけます。
令和2年度業績
検査種別 | 一般撮影系 | 造影透視 | X線CT | MRI | 血管撮影 | RI | 骨密度測定 |
件数 | 70,830 | 5,100 | 27,525 | 6,700 | 1,096 | 1,081 | 1,987 |
検査種別 | 検診・ドック | ||
胸部 | 胃部 | マンモ | |
件数 | 13,046 | 11,218 | 5,366 |
スタッフ紹介
放射線診断科部長
山本 哲史
専門領域 | 画像診断 |
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認定資格等 | 放射線診断専門医・指導医 検診マンモグラフィ読影認定医 核医学専門医 PET核医学認定医 |
出身大学・卒年 | 新潟大学 1993年卒 |
放射線診断科部長
竹内 悟
専門領域 | 画像診断 |
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認定資格等 | 放射線診断専門医 |
出身大学・卒年 | 新潟大学 2006年卒 |
放射線診断科医員
片岡 賢人
出身大学・卒年 | 2020年卒 |
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放射線診断科医員
尾﨑 七緒
出身大学・卒年 | 2022年卒 |
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医師 | |
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放射線診断科常勤医 | 3名 |
非常勤医 | 1名 |
放射線技師 | 33名 |
看護師 | 6名 |
事務員 | 6名 |
【当科関連のお知らせ記事がある場合、こちらにも表示されます。】
- 2021/09/30ペインクリニックの受診について