放射線科

放射線診断・放射線治療概要

放射線診断について

放射線科では骨撮影系に用いる単純撮影装置や、心臓や脳、腹部など全身の血管の診断と治療を施すアンギオ撮影装置、胃・腸検査用の透視装置をはじめ、人体の断層画像を得るCTやMRI、そして放射性同位元素を用いるRI検査の機器を一括して管理、運営しています。これらの機器は放射線科診断医を中心として多数の診療科の医師が、診療放射線技師とともに使用し、画像検査を通じて病期の診断や治療効果の判定を行っています。
放射線科の重要な機能には、病院内の放射線管理があります。医療における放射線は当然ながら健康維持や治療に活用されるわけですが、使い方を誤れば人体に有害な因子のみが全面的に出てしまいます。これを避けるためには、適正な放射線管理がなされる必要があります。放射線科では法令に基づき令和2年度より、CT、血管撮影、核医学検査を中心に、患者様一人一人の医療被ばく線量を管理し記録保存しています。これらの結果を定期的に検討し改善することで患者様や医療従事者の被ばく低減に努め、安全で適正な検査が施行されるように調整を行っています。

放射線治療について

当院放射線科では、令和元年に放射線治療装置を更新し、新たに放射線治療科を設立しました。従来は放射線治療装置1台体制でしたが、近年の高精度放射線治療の進捗状況から汎用型の放射線治療装置と強度変調放射線治療(IMRT)に特化した放射線治療装置の2台体制となりました。一般的な放射線治療とIMRTの手法は令和元年より行っており、令和3年度からは定位放射線治療を開始しました。
それぞれの放射線治療機の特徴を生かし、さらなる高精度化を目指しながら、中越医療圏の癌治療に役立つことが出来る様努力していきます。

一般撮影

一般撮影とは、胸部や腹部、骨、乳房などをX線で撮影することをいい、単純撮影とも呼ばれます。当院では2017年2月より富士メディカルシステムズ社製のFPD(Flat Panel Detector)を使用した最新のX線撮影システムを導入し、質の高いX線画像を提供しています。FPDは従来システムに比べ被ばく線量が少ないことが大きな特徴で、最大で約50%の被ばく線量の低減が可能となりました。また、処理速度が速くなり画像確認時間が短縮したこと、骨折などの撮影時フィルムの入れ替えがなくなり、苦痛が少なくなるなど、より患者様にやさしい検査を行うことができるようになりました。

乳房X線検査(マンモグラフィー)は正常乳腺・乳腺の乱れ・石灰化・腫瘤を鑑別する為に乳房専用装置を用います。当院では2020年3月に直接変換方式のFPD装置を導入し、低線量での検査が行われるようになりました。また乳腺構造の重なりにより発見が難しかった病変の観察を容易にするトモシンセシス機能も搭載しております。石灰化組織を採取するマンモトーム検査もトモシンセシスの機能により、より正確にスピーディーに行えるようになりました。

骨密度

骨粗しょう症の診断に用いる装置です。骨粗しょう症とは骨が弱くなって、骨折しやすくなる病気です。骨の強さは、骨の量(骨密度)と骨の質(骨質)で決まります。
当院の骨密度の測定は、Hologic社製の装置を使用し、DEXA(デキサ)法とよばれる測定法で行っています。エネルギーの低い2種類のX線を使って、骨と他の組織におけるX線の吸収率の差から骨密度を測定する方法で、信頼度が高いといわれています。
主に腰の骨(腰椎)や股関節(大腿骨近位部)、手関節(前腕骨遠位部)の骨密度を計測します。検査開始から終了までの所要時間は、着替えなどの時間を除けば数分程度で終了します。
症状が無くても、女性は40歳を過ぎたら定期的な骨密度検診の受診が勧められていて、5年刻みに骨密度の節目検診を行う自治体も多くなっています。 検診で骨密度が減っていると判定された人は、指示された時期に医療機関で検査・診断を受け、治療の時期を逃さないようにしましょう。

X線TV室

当院ではX線TV装置を健診棟の2台を含め5台保有しています。X線TV装置は連続的にX線を出すことで、普通のテレビのように身体の動きや状態を動画として確認しながら、最適なタイミングの画像を撮影する装置です。整形外科、外科、消化器内科の検査を始め、さまざまな検査、治療を行っております。

CT

CT検査とは
Computed Tomographyの略です。X線で身体を撮影し、コンピュータ処理をすることによって断面像をつくり、身体の内部を詳細に画像化する検査です。検査時間は目的、部位によっても異なりますが、短いもので約5分、長いもので15分程度です。
当院のCTは治療計画用を含め4台稼働しており検査の目的や部位に応じて使い分けられます。その中の1台は16㎝という広い範囲、例えば成人の心臓全体や頭部を0.275秒で撮影することが可能です。この機能を用いて、心臓疾患、脳疾患等の検査を行っています。その他、胸部・腹部・四肢など、全身を撮影しています。検査目的によって造影剤を使用することがあります。造影剤を使用すると、副作用がでることがありますがすぐに適切な処置がとれるような体制になっております。
皆様に安心して検査を受けて頂くために適切な造影剤量、X線被ばく量を考慮しより安全な検査が行えるように努力しています。

検査のお願い

検査部位に応じて、アクセサリーや貴金属類、使い捨てカイロやエレキバン等を外していただきます。
息止めが重要な検査です。合図に合わせてしっかり息を止めるようにお願いします。

 

MRI

MRI検査とは
Magnetic Resonance Imagingの略称で、X線を使わず強力な磁力と電波により体の断面を撮像する検査です。また、造影剤を使わずに血管を描出することが可能です。
当院のMRI室は1.5T(テスラ)と3.0T(テスラ)の2台で運用しています。
3.0T MRI装置は1.5T装置に比べ約2倍の信号が得られ、画像の画質が向上し、撮像時間の短縮が可能となりました。特に頭部では高分解能画像が得られ、従来では見えなかった非常に微小な動脈瘤も描出できるようになり、脳血管の3D画像も非常に細かい部分まで見えるようになりました。
私たちは、3.0Tと1.5T MRI装置のそれぞれの特性を活かし、役割分担をして最良の検査を心がけています。 また、安全に検査を受けていただくために、問診をさせていただいています。ご協力お願いいたします。

検査の注意点

検査予約時の医師、看護師の問診にお答えください。
磁性体は検査室内に持ち込めない為、時計やネックレス等のアクセサリー類は外していただきます。また使い捨てカイロや湿布薬等も検査部位に関わらず火傷の恐れがある為、剥がしていただきます。
心臓のペースメーカや骨折部位の金属プレート等、体内金属に関してはMRI検査に対応していないものもある為、検査予約時に必ず医師に申し出て下さい。
※車いす、ストレッチャーの方はMRI対応のものに乗り換えます。
検査時間は通常15~30分で、長いもので1時間程度です。
検査中は仰向けで静止したままになります。
※検査内容により体の向きが異なる場合があります。

 

多目的血管撮影装置・DSA装置

血管造影検査は、カテーテルと呼ばれる細い管を目的の血管まで到達させ、造影剤を注入して血管の形態や血流を観察します。画像処理によって、目的の血管だけを描出することで、病気の診断、評価にとても役立ちます。
当院では脳外科、消化器内科、血管外科、透析の患者様に対して造影検査、IVRを行っています。 IVR(Interventional Radiology )とは、画像診断(X線透視装置、超音波、CT、MRIなど)を施行しながら、主にカテーテルテクニック、または穿刺術を利用した治療のことです。「カテーテル治療」や「血管内治療」とも呼ばれています。
血管系IVRでは、カテーテルを目的の場所まで進め、狭窄した血管を広げる拡張術、出血した血管をふさいだり、動脈瘤をつめたりする塞栓術、がんを栄養する血管に薬を注入する動注化学療法などの治療が行われています。
血管系IVRは、外科手術にくらべて低侵襲で治療を行う事ができるため、体への負担が少なく、入院期間も短くできます。

心臓カテーテル撮影装置

心臓カテ-テル検査には、造影剤を用い心臓の壁運動および血管の形態を知る造影検査や右室・左室などの心腔や大動脈などの大血管内の血圧や採取した血液中の酸素濃度の測定、心臓が送り出す循環血液量の測定、心臓内での電気の伝わる速さを調べる電気生理学的検査があります。
当院では心臓カテーテル検査は主に循環器内科の患者様に対して造影検査、IVR(血管内療法)を行っています。
心臓カテ-テル検査室で行なわれるIVRには冠動脈拡張術PCI、血管拡張術(冠動脈以外)PTA、血管塞栓術TAE、アブレーション、ペースメーカ・ICD植込み術などがあります。 平成30年より導入された最新装置では、同時に2方向からの透視撮影を行うことが可能であり、より検査時間の短縮化、造影剤の低減が図れます。

 

 

核医学検査

核医学検査は、ごく微量の放射性同位元素(ラジオアイソトープ)を含む放射性医薬品を用いて診断する検査です。放射性同位元素からは微量のガンマ線が放出されます。放射性医薬品を投与すると、特定の臓器に集まりガンマ線を放出します。このガンマ線をガンマカメラで体外から測定し、分布を画像にします。当院では2台のガンマカメラを使用し検査を行なっています。ここに代表的な検査として骨シンチグラフィ(骨シンチ)と心筋シンチグラフィ(心筋シンチ)の画像を掲載します。骨シンチはラジオアイソトープを注射し、癌の骨転移、外傷等による微小骨折など、X線検査ではわかりにくい様々な全身における骨の状態を詳しく調べることができる検査です。心筋シンチも同様にラジオアイソトープを注射し心臓を栄養する血管(冠動脈)に狭いところがあり心筋への酸素供給が不足した状態の有無を調べ、狭心症、心筋梗塞の有無や重症度を診断するなど各種心疾患の診断目的で行われる検査です。このように核医学検査は検査目的に合わせた放射性医薬品を選択することで、臓器の血流、代謝などを知ることができます。最後に当院では骨に転移した骨腫瘍に対して抗がん作用を持つ治療用の放射性医薬品(注射薬)を使用した治療も行っています。

人間ドック・検診

胃部・胸部検診車3台とマンモグラフィー検診車を保有しており、住民検診や事業所検診をおこなっています。
また、人間ドックでは胸部X線撮影や胃部バリウム検査、マンモグラフィー、骨密度測定、胸部CT検査を行っております。
胃部バリウム検査では日本消化器がん検診学会およびNPO法人日本消化器がん精度管理機構推奨の基準撮影法で撮影を行っております。
マンモグラフィーにおいてはデジタルマンモグラフィシステムが導入され、低被曝・高画質な画像を提供しております。また、女性技師が担当しますので安心して検査を受けていただけます。

 

放射線治療

放射線治療は外科療法・薬物療法と並び、がん治療を支える3本柱の一つです。比較的病巣が小さい場合、放射線治療単独でも高率にがんを治癒することができます。放射線は、照射する範囲において正常臓器にも影響を与えますが、1日あたりの照射線量やスケジュール、照射範囲を絞るなどの工夫を行うことにより、正常臓器に大きな影響を与えず、がん病巣に対してダメージを集中させることが可能です。
がんの種類や進行状況と患者様の体の状態、治療に関する希望に応じ、治癒を目指す治療より症状緩和を目的とした治療まで、幅広く応用されています。
放射線治療科では、すべての診療科と連携し、また新潟大学や他院とも協力して、よりよい放射線治療を提供するための努力をしています。
以下に令和元年に新築されました放射線治療とについてご紹介いたします。

ACCURAY社製トモセラピー Radixact X9 

トモセラピーとは

トモセラピーは、CTスキャナーと放射線治療システムを統合した装置です。この独特の機構により、毎日治療前に行う患者位置合わせの精度を担保し、リング型ガントリーを活用しながら三次元原体照射法(3DCRT)と三次元画像誘導による強度変調放射線治療(IMRT)を行うことができます。

ACCURAY社製トモセラピーRadixactの特徴

 

・大きな腫瘍,複数部位を一度に治療可能

 

トモセラピーは寝台を移動させながら治療を行うため、治療範囲が広い場合や複数ある場合、従来 2回、3回に区切って治療していましたが一度に治療を行うことが出来るようになりました。

 

・CTと治療装置が一体化

 

トモセラピー自体でCT撮影と治療照射が同一機構で出来ます。従来の放射線治療装置では、画像取得時と治療時では用いる機構が違うため、微細なずれが生じていました。しかし、トモセラピーは同一になっているため、より精度の高い位置合わせが可能となっています。

 

・がん病巣にたいして集中的に照射するIMRTが可能

 

呼吸や腸管のガスの有無などで体内臓器の位置は常に変化します。しかし治療前に毎回CT画像を取得することで、日々の臓器の動きからおこる位置ずれなどを補正することができ、治療線量を腫瘍に集中して正確に当てることが可能になりました。これにより、今まで治療しにくいような場所への治療も行えるようになっています。

 

・患者様の負担がさらに軽減

 

リング型ガントリーを活用しながら腫瘍を集中的に治療することで正常組織への損傷を分散でき脱毛など放射線治療による副作用が軽減できるため患者様の負担を軽減させることができます。

 

Varian社製 TrueBeam 高性能汎用放射線治療装置

TrueBeamとは

多種多様な症例に対応する治療を選択でき、また高精度な放射線治療にも対応している装置です

 

・様々な症例に対応

 

多様な放射線治療技法に対応している TrueBeam は、頭頸部、体幹部、四肢に至るまで幅広いがん症例に対処し、患者様一人一人に合わせたオーダーメイドの治療計画を提供します。

 

・照射時間の短縮

 

放射線治療は長時間動かずに寝台で寝る必要があります。TrueBeam は, 症例により大線量率による照射時間の短縮を可能にし, 治療時間を少しでも短くすることで、治療中に動く可能性を低減することができます。

 

・位置再現性の向上

 

放射線治療は治療計画のために撮影したCT画像に対して、放射線をどのように当てるかを決定します。そのため日々の治療ではCT撮影時と同じ位置に姿勢を再現することが重要となります。TrueBeam は治療部位を合わせる際に、水平移動(3軸)に加えて回転成分(3軸)の補正をすることができるため治療装置で撮影した画像を確認しながら適切な位置に寝台を移動することができます。

 

放射線科検査種別業務実績

検査種別 一般撮影系 造影透視 X線CT MRI 血管造影 RI 骨密度測定
件数 70,830 5,100 27,525 6,700 1,096 1,081 1,987
検査種別 検診・ドック
胸部 胃部 マンモ
件数 13,046 11,218 5,366
検査種別 放射線治療
頭頚部 食道・肺・縦隔 乳腺 腹部 骨盤部 その他 脳転移 骨転移 IMRT
件数 15 77 48 23 113 18 14 40 97
放射線治療患者実人数 331人
医師
放射線科常勤医 3名
非常勤医 1名
放射線治療科常勤医 2名
非常勤医 1名
放射線技師 33名
医学物理士 2名
看護師 6名
事務員 6名

【当科関連のお知らせ記事がある場合、こちらにも表示されます。】

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