放射線治療科

放射線治療科について

当院放射線科では、令和元年に放射線治療装置を更新し、新たに放射線治療科を設立しました。従来は放射線治療装置1台体制でしたが、近年の高精度放射線治療の進捗状況から汎用型の放射線治療装置と強度変調放射線治療(IMRT)に特化した放射線治療装置の2台体制となりました。一般的な放射線治療とIMRTの手法は令和元年より行っており、令和3年度からは定位放射線治療を開始しました。
それぞれの放射線治療機の特徴を生かし、さらなる高精度化を目指しながら、中越医療圏の癌治療に役立つことが出来る様努力していきます。

 

放射線治療

放射線治療は外科療法・薬物療法と並び、がん治療を支える3本柱の一つです。比較的病巣が小さい場合、放射線治療単独でも高率にがんを治癒することができます。放射線は、照射する範囲において正常臓器にも影響を与えますが、1日あたりの照射線量やスケジュール、照射範囲を絞るなどの工夫を行うことにより、正常臓器に大きな影響を与えず、がん病巣に対してダメージを集中させることが可能です。
がんの種類や進行状況と患者さんの体の状態、治療に関する希望に応じ、治癒を目指す治療より症状緩和を目的とした治療まで、幅広く応用されています。
放射線治療科では、すべての診療科と連携し、また新潟大学や他院とも協力して、よりよい放射線治療を提供するための努力をしています。
以下に令和元年に新築されました放射線治療についてご紹介いたします。

ACCURAY社製トモセラピー Radixact X9 

トモセラピーとは

トモセラピーは、CTスキャナーと放射線治療システムを統合した装置です。この独特の機構により、毎日治療前に行う患者位置合わせの精度を担保し、リング型ガントリーを活用しながら三次元原体照射法(3DCRT)と三次元画像誘導による強度変調放射線治療(IMRT)を行うことができます。

 

ACCURAY社製トモセラピーRadixactの特徴

 

・大きな腫瘍,複数部位を一度に治療可能

 

トモセラピーは寝台を移動させながら治療を行うため、治療範囲が広い場合や複数ある場合、従来 2回、3回に区切って治療していましたが一度に治療を行うことが出来るようになりました。

 

・CTと治療装置が一体化

 

トモセラピー自体でCT撮影と治療照射が同一機構で出来ます。従来の放射線治療装置では、画像取得時と治療時では用いる機構が違うため、微細なずれが生じていました。しかし、トモセラピーは同一になっているため、より精度の高い位置合わせが可能となっています。

 

・がん病巣にたいして集中的に照射するIMRTが可能

 

呼吸や腸管のガスの有無などで体内臓器の位置は常に変化します。しかし治療前に毎回CT画像を取得することで、日々の臓器の動きからおこる位置ずれなどを補正することができ、治療線量を腫瘍に集中して正確に当てることが可能になりました。これにより、今まで治療しにくいような場所への治療も行えるようになっています。

 

・患者様の負担がさらに軽減

 

リング型ガントリーを活用しながら腫瘍を集中的に治療することで正常組織への損傷を分散でき脱毛など放射線治療による副作用が軽減できるため患者様の負担を軽減させることができます。

当院の強度変調放射線治療専用機 Radixact に新しい機能(動体追尾照射)が搭載されました

動体追尾照射とは?

患者様の呼吸を赤外線カメラとX線写真で観察し、体表面の動きと体内の動きがリンクさせて呼吸で動いてしまう腫瘍を追いかけながら(追尾しながら)放射線を照射する治療法になります。

呼吸で動いてしまう腫瘍に対して威力を発揮

従来の放射線治療のデメリット

 ・呼吸を止めるもしくは身体を圧迫して、腫瘍の動きを小さくして治療(身体的負担)
 ・腫瘍を逃さないように、呼吸で動く範囲全体に放射線を照射(正常な組織へのダメージが増加)

動体追尾照射のメリット

 ・自然に呼吸した状態での治療や身体の圧迫などの拘束がなく、身体的負担が少ない
 ・腫瘍を追尾し、放射線を照射する範囲を最小限に縮小
 ・1回により多くの放射線を照射することができ、治療に要する期間が短い

動体追尾照射を搭載したことで、自然に呼吸をした状態で腫瘍の動きに合わせた高精度な照射することが可能となりました。
腫瘍が移動しても追尾するので、腫瘍付近の正常な組織への放射線の照射を最小限に抑えることが出来 ます。
また、従来の放射線治療に比べ、治療に要する期間を短縮することができます。


・身体に置いた目印を赤外線カメラで観察し呼吸の情報を得る


・X線写真を撮影し腫瘍の位置を確認、呼吸の情報とリンクさせ腫瘍を追いかけつつ、放射線を照射



・動体追尾照射により照射範囲の縮小

新たな機能を搭載したことにより、患者様の様々な負担軽減が見込まれます。

引き続き、地域医療圏の患者様に対して高精度な放射線治療を安心して受けていただけるよう、放射線治療科スタッフ一丸になってに取り組んでまいります。

当院のインスタグラムにて紹介動画を掲載しております。
こちらからご覧いただけます。

Varian社製 TrueBeam 高性能汎用放射線治療装置

TrueBeamとは

多種多様な症例に対応する治療を選択でき、また高精度な放射線治療にも対応している装置です

 

・様々な症例に対応

 

多様な放射線治療技法に対応している TrueBeam は、頭頸部、体幹部、四肢に至るまで幅広いがん症例に対処し、患者様一人一人に合わせたオーダーメイドの治療計画を提供します。

 

・照射時間の短縮

 

放射線治療は長時間動かずに寝台で寝る必要があります。TrueBeam は, 症例により大線量率による照射時間の短縮を可能にし, 治療時間を少しでも短くすることで、治療中に動く可能性を低減することができます。

 

・位置再現性の向上

 

放射線治療は治療計画のために撮影したCT画像に対して、放射線をどのように当てるかを決定します。そのため日々の治療ではCT撮影時と同じ位置に姿勢を再現することが重要となります。TrueBeam は治療部位を合わせる際に、水平移動(3軸)に加えて回転成分(3軸)の補正をすることができるため治療装置で撮影した画像を確認しながら適切な位置に寝台を移動することができます。

 

放射線科検査種別業務実績

令和4年度業績

検査種別 放射線治療
頭頚部 食道・肺・縦隔 乳腺 腹部 骨盤部 その他 脳転移 骨転移 IMRT
件数 66 29 53 15 100 11 26 29 146
放射線治療患者実人数 385人

スタッフ紹介

放射線治療科

放射線治療科部長

阿部 英輔

専門領域 放射線治療全般
認定資格等 医学博士
日本専門医機構認定 放射線科専門医
日本医学放射線学会・日本放射線腫瘍学会認定 放射線治療専門医
研修指導者
出身大学・卒年 新潟大学
1999年卒
放射線治療科

放射線治療科医長

本田 母映

専門領域 放射線治療全般
認定資格等 日本専門医機構認定 放射線科専門医
日本専門医機構認定 放射線治療専門医
出身大学・卒年 新潟大学
2016年卒
放射線治療科常勤医 2名
非常勤医 1名
放射線技師 6名
医学物理士 2名
看護師 2名
事務員 2名

【当科関連のお知らせ記事がある場合、こちらにも表示されます。】

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